1 2009年 11月 30日
11月29日 日曜日。 昨日の夜は、下の階の人が朝3時くらいからどたばたと引っ越しを始める。6時くらいに下からものすごい大きないびきが聞こえてきて、やっと終わったかと思ったら、また、11時くらいからどたばた始まった。朝3時から引っ越しを始めた理由がどうしてもわからない。もう4年になるが、まだまだわからないことがたくさんあるものだ。 さて、日曜日。わくわくする響きだが、ぼくたちの地味な生活はあまり変わらない。 あやちゃんは午前中から仕事、ぼくも制作だ。 あやちゃんの場合 今日のあやちゃんの仕事は、韓国人の美術作家のアシスタントだ。今月末に終わったベネチアビエンナーレの韓国代表の女性作家で、あやちゃんは主に編み物でオブジェをつくっていく作業を担当している。 ビエンナーレが始まる直前には怒濤の忙しさだったが、今はのんびりぽつぽつとやっている。(ビエンナーレ直前にはあやちゃんのビザ問題で強制送還騒ぎも勃発した) 語学の勉強にもなるまさに一石二鳥の仕事だ。 けんの場合 制作すること サブタイトル(なぜ日曜日にまで) ぼくは自分の一番やりたいこと(美術)をやって、どうやら暮らすのに困らなくなった。本当に幸せなことだと思う。反対にやりたくないことを毎日、仕事としてやっている人もものすごくたくさんいるはずだろう。上司に嫌みを言われ、つきあいでいやいや、カラオケに行く。 何回も言うがぼくは本当にしあわせだ。だからこそ、やらなくてはいけないことがある。 やりたいことをやりたい時にだけやって出来上がったもの、それをみせて、やりたくないことをやりたくない時にさえ、やっている人を感動させられるだろうか。 ぼくの答えはノーだ。 ぼくがやりたいことをやっているというこのうえないしあわせを自覚するのなら、最低でもやりたくないことをやりたくない時にやっている人以上にやらないとその人たちの心は動かせない。 早口言葉みたいだね。そんなこといってふざけている場合じゃない。 そうするのが当然だし、そうじゃないとなんだか申し訳ないような気もする。 休みをいれたほうがかえって集中できるかもしれないが、まだ若いし。 好きなことをやっているんだから日曜日みたいなものだし。うん、いい哲学だ。 そんなわけで、ぼくはおそらくこの2年間、ベルリンにいる時は休んでいない。 もちろん、ぼくにも気分の乗らないとき、悩んでいる時はある。そんな時はまあまあと自分を許してしまいたくなるが、今度はあやちゃんがそれを許さない。 一度言い放たれたことがある。 けんちゃん、悩んでどんなに苦しい時でも、美術家であるなら仕事机にむかいなさい。そしてへどを吐きながら悩みなさい。 それが芸術家なんだよ。 と。 無敵である。 あやちゃんがいれば、ぼくはヘラクレスにも勝てるだろう。 恒例 今日の食事 無敵ご飯 無敵ご飯 納豆 卵 (無敵ご飯なんてありません。みそ汁に冷やご飯をいれただけです) 鳥骨だしと牛肉と大根の煮込み 韓国いなり ▲
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| 2009-11-30 03:34
2009年 11月 29日
11月28日 静かな日。 日中、制作。夜、作品の撮影。 頭の中も整理できる。マケット製作の期限は10日までだがもちろん完成させるだろう。 2週間でつくれない人間は、3週間あってもやっぱりつくれないのだ。 そんな哲学がどこかにあってほしい。 夜8時、ビールを飲もうと思ったらあやちゃん帰宅。今日はいつもより1時間早い。寒さと暗さでお客さんが全然来なかったらしい。 そんな、街中、静かな日。 ハムとチーズのサンド シャケクリームパスタ 納豆 ツナのつくだに きんぴら 鳥のからあげ わかめのつけもの (あやちゃんが職場から持って帰ってきた) ▲
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| 2009-11-29 18:27
2009年 11月 28日
11月27日 やはり、野菜頭は評判が悪かった。中身も野菜のようだと言われたら嫌なので、朝、一番、あやちゃんに直してもらう。ほんの一手間でみちがえるようである。料理番組のコメントみたい。 午後、レーウバーデンの彫刻のプレゼンテーションが、予定の12月18日の他に、10日にアムステルダムでもおこなわれるという連絡がはいる。18日はクライアントのオランダ司法省、10日はその司法省の新しい建築を建てるクラウス エン カーンさんが聞き手だ。 ぼくは建築には疎いが、クラウスとカーンさん(二人組の建築家)は日本でもよく知られており、オランダでもすでに巨匠に位置する方達。なぜか、ぼくの凹み彫刻を気に入ってくれたようで、彼らが巨大な凹み彫刻を新しいビルにいれることを司法省に薦めてくれ、契約までこぎつけることができたのである。 9月の初顔合わせの時には、彼らの巨大なオフィス(ビル)付属のキッチン(数十平米はある)で、竜宮城に迷い込んだかのような、すばらしいディナーをふるまってくれた。おそらく3星レストランとはこういうものをだすのであろう。クラウスの奥さんは日本人で、才色兼備の建築家、 吉良さんである。 クラウス、吉良さん、エスター(このプロジェクトのアートコーディネーター)、ディック(クラウスの片腕)、もうひとりヨットの話ばっかりするダンディなイケメン紳士、が凹みの与太話を熱心に聞いてくれた。 いっぱい凹みの話をして、ごきげんほろ酔い気分の帰り道、エスターが、あの紳士がカーンだよ、と教えてくれた。ええ!なんでおしえてくれなかったの! 今をときめく建築家が(カーンのオフィスはロッテルダムにある)、その過密スケジュールの中で、ふたりそろって時間をつくってくれたのである。 今度、カーンさんに会った時は、ちゃんとヨットの話を聞かないでごめんなさい、と謝ろう。 さて、そんな夢のような記憶から、現実に戻ろう。 10日にプレゼンということは、当然だがそれまでにマケットの完成。。。実際の彫刻に使う素材のリサーチ報告書の完成。。。。。。。。なにぃ! ここで完全に現実に戻る。 かなり一生懸命、やってもぎりぎりのスケジュールだ。 一瞬ぞっとする。 苦し紛れにハンブルグに電話。 ぼくのハンブルグの所属ギャラリーで12月3日、4日にグループ展の作品搬入とオープニンングパーティーに出席することになっていたのだ。 ここで登場する佐藤幹子ことみきちゃんはこのブログでも最も重要な登場人物だ。ぼくが契約する5つのギャラリーのうち、唯一の日本人ギャラリスト。(札幌にも最も大切な精神的拠点がある)同じ日本人だし、(みきちゃんはある意味外人だが)いろいろな試練をともに乗り越えてきたこともあって、ぼくにとっては最も頼りがいのある人だ。 みきちゃんが電話にでたので、4日のオープニングには参加できない、と泣き言を言う。簡単にはいくまい、と思っていたが案の定まるめこまれる。「ええっもうケンちゃんくるって公式に言っちゃったよ。みんなケンに会うのすごい楽しみにしてるって言ってたよ。」 これは絶対にうそである。うそでないにしても大げさである。長い付き合いだからわかるんです。みきちゃん。 でも、うそだとわかりつつも、なんだかほろほろっとくる。人情に直接アピールしてくるというか。いつも、こんな簡単な手でやられているんだな、ぼくは。 結局、3日も4日も行くことになる。 野菜のスープ 照り焼きの海苔弁当 鶏ガラだしのうどん ▲
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| 2009-11-28 19:16
2009年 11月 27日
11月26日 マケット(模型)制作。 スパイラル構造の検証。(詳しくはそのうち) だいじょうぶ、いける! 何週間か悩んできたことが、全て解決していく。歯車がかみあうとはこのことだ。 さて、そこでもう一仕事。あやちゃんの意見を聞く。ぼくの最も身近にいて、制作態度、制作の過程を知っているあやちゃんを納得させるのはけっこう難しい。というか一番難しい。でも、それがぼくの仕事。一番近くの人を感動させられないで誰を感動させることができるだろう。 意見に、変に芸術を愛護する姿勢がないから信用もできる。 あやちゃんのOKもでる。かなりほめてもちあげてくれた。あめとむちかなぁ。むちはいつくるのかな。 と思いつつも、もちろん気分がよくなる。 今日はお客さんも来る予定だし、のむぞう。と、いきおいで髪も切る。野菜のような感じになったが、誰かがじっくりとみるわけでもない。 ベルリンに住み始めた当初、ぼくたちは毎晩のように人と会うために繰り出した。情報収集にもなるし何より語学の勉強になる。だがいつの間にか考え方もかわっていく。不特定多数の人間と表面的な話をするより、一人の人間を招いて、もしくは招かれてじっくりと向き合う方がより得るものが多い。人と会う回数もかなり減った。自分とじっくり向き合う時期なのだと思う。せいぜい週1回くらいでちょうどいい。 イタリア産ハムのサンド 野菜うどん 鳥のてりやき 豆のスープ サラダ ▲
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| 2009-11-27 19:45
2009年 11月 26日
11月25日 昨日とはうってかわって仕事がはかどる。 午前中のうちにロッテルダム歴史博物館用の彫刻制作予算を完成、送る。 それに関わるオランダ、ロッテルダムにあるぼくの所属ギャラリーのギャラリスト、ミリアムとの報酬の分配も、(電話がくるたびにドキッとしたが)めずらしくスムースに話がまとまる。 これはとても稀なことである。 これからも多々登場してくるであろう彼女のこと。 50代後半の彼女の名前を、ロッテルダムの美術関係者に話してみると、けっこう有名で数人が「ああ、あのミリアムと仕事してるの」と、あの、に力を込めながら尊敬と哀れみをこめた表情に変わる。これはかなり彼女のことを象徴している言葉だ。 要は長い期間つきあっていくには、こちらにそうとうのタフネスが必要ということだ。少なくない人達が彼女ともめるのをみてきた。でも、つきあい方を気をつけて、自分なりの距離をみつけられたなら、とても優秀で活動的で押しの強いギャラリストである。 幸運は続き、もうひとつの大きなプロジェクト、オランダ、レーウバーデンの仕事も次の段階へ進んだ、という知らせがくる。とても大きいプロジェクトなので、数回のプレゼンテーションを経て、それぞれの段階でOKをもらいつつ長期間かけて実現させていく。これについては、話が長くなるので次回にします。 そんなこんなで、気分もよくなりお仕事中だったあやちゃんをお散歩に誘った。(ぼくの税理士関係の書類を整理してくれていた)(一度断られたがぼくもねばった)(結局は天気もいいしあやちゃんも満足していた) 散歩といっても、行く先は近所のお墓である。ただのお墓であるがぼくが知っているベルリンのお墓ベストである。広い敷地にはかなりの種類の植物、樹木があり、あまり手入れされていないというのがみそ。鳥類、虫類も多く、そして真ん中に大きな美しい並木道がある、というのがベストお墓の決め手になった。 夏はかなりの頻度で散歩にくる場所だ。いくつかの鳥の巣の位置もおぼえているし、どんな鳥が出入りしてるかも知っている。 一度、ひとりで行って、木の洞に潜む大グモに何度もえさをあげて、おっかな喜んでいた。次の日もいやがるあやちゃんを連れて、クモの餌付けに行ったら、その洞が管理人さんにきれいさっぱり大掃除されていたことがあった。お墓の管理人さんもある意味おっかなかったと思う。変なやつが木の洞を覗き込んで一喜一憂していると思いきや、えさの虫探しで草むらにしゃがみこんで何やら、つついているのだから。 午後、制作。レーウバーデンの彫刻のマケット。スパイラル構造。 塩漬け豚サンド ブロッコリーのピザ 塩漬け豚と野菜のスープ ▲
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| 2009-11-26 03:08
2009年 11月 25日
11月24日 北海道からドイツ、ベルリン市に拠点を移して4年。 昨夜、12時10分前後、寝床で目が覚めて、突然「よし、日記を書いてみよう」と思い立った。 制作中に利き手の人差し指を切ってしまったり、大切にしていたタツノオトシゴの絵が入った砂糖つぼを割ってしまったり、夜9時過ぎには寝床に入ってみたりと変な一日だったことも手伝ってなのかもしれない。日常生活の簡単な記録、知人への報告、自分の考えたことを整理するということもかねて続けていこうと思う。日本でぼくのことを心配してくれている人、おぼえてくれている人がいたら読んでください。 ぼく、谷口顕一郎は札幌出身の33歳。2005年から同じ札幌出身の恋人、山本彩子31歳とベルリンで暮らしている。あやちゃんは去年のうちに僕の妻になるはずだったが、ドイツでの滞在許可(ヴィザ)が未だに下りず(というか、もめて)目下、彼女の弁護士が裁判を闘ってくれている。「あやちゃん対ベルリン市」という訴訟名だ。仰々しく聞こえるが当の本人達、特にあやちゃんはけっこう、つらっと暮らしている。今の段階でぼくらにできることなんかひとつもないのだ(もちろんだが弁護士がすべての専門的雑務をこなしていく)。 最初に訴訟の話になってしまったが、そういう話を書きたかったわけではなく、僕たちをとりまく状況が少しでも思い浮かべられますように。 ぼくは彫刻家でつくった彫刻を売ったり、依頼を受けたりしている。あやちゃんは日本の食事をだしているお店で働いている(レストランではなくてインビスという。お惣菜屋を想像してもらうと一番近い)。その他に日本の雑誌の仕事、編み物等でオブジェをつくる仕事、ぼくのお守りなどもこなしている。 40平米のアパートに住んでいて、外食は年に数回、ほぼ自炊。経済的な理由ではなくその方がおいしいし飽きないし上手になる。車はなし。自転車は2台。 ふたりとも貧乏にあこがれるタイプではないし、毎日せっせと働いて今よりもう少しすてきな生活を、と考えている。これといった趣味はないけど、ふたりとも本を読むのは好き、あと特筆すべきことといえば、ふたりとも毎日お酒を飲むこと(ほんとうに365日毎日です)。 こんなぼくたちの日記です。 生姜焼きサンド 生姜焼きと野菜グラタンのお弁当 塩漬け豚 ▲
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| 2009-11-25 02:32
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