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季刊/凹みスタディ

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2017年 05月 31日

凹みハウス

さて、月刊凹みスタディとか言ってるけど、
3月と4月をくっつけちゃいます。
獅子座特有の自分ルール(要は自己中)を採用します。

力を静かに蓄えるような、
地味だけど、でもとても、とても有意義な日々でした。


3月3日、
もう一回、秋吉台国際芸術村に戻る。

前回来てみて、もう勝手がわかっているので、何事にもあまり手こずらない。
慣れてしまえば、とっても居心地がいいです。なにせ、余るほどの大自然!
そしてインターネットが使えないのも慣れるといいものです。メリハリがつくというか。


トーク(みなさん、よく凹みの話しなんぞ聞いてくれました)、
下関(学芸員さんの休みの日にみんなで連れていってもらいました)、
搬出(こんないいスペースで見れることはめったにないと思うので少ししんみりしました)、
なども、ちゃっちゃっと済ませて、あとは惚けて暮らしていました。

住まいから何から全部提供してもらって、
さらにちゃっかり、個人的なプリントアウトまでさせてもらう。
(だって120cm幅で綺麗に出せるプリンタがあるんですもの、これはベルリンに帰ってからとても助かりました)

山口県の人達はなんだかとても気持ちがいいです。
偉人が多いのもわかる。
もう、ほんとに、山口のみなさん、
全日本・人の温かさ大賞なんていうものがあったら、あなたにあげる!


さて秋吉台のあと札幌へ。
いろんな人に遊んでもらい、
おいしいものもたらふく食べて充電。


ある日、札幌、武田くんからのアドバイス。(彼はよく、朝、仕事に行く前に寄ってくれてコーヒーを飲んでいく)
「ケンくん、たまに創らないでみるのもいいよ。リフレッシュになって、逆に新しいアイデアとか、意欲が増すよ」
ということ。

うん、彼がそう言うんならそうなのだろう。
傾向も似てるし。
それにどうせ焦ったって、残りの札幌滞在ではたいしたものはつくれないし。
刺身たらふく喰って、WBCでもみてようっと。
ということで2週間の札幌滞在中は、ほんとに何もつくりませんでした。
せいぜい野鳥の餌箱の修理くらいかな。
山口県に滞在してたのと合わせると、
一ヶ月強、作品をつくりませんでした。
こんなにつくらないのは、たぶん20年ぶりくらいです。

吉と出るか、狂、、、じゃなくて凶とでるか。


札幌滞在も終わり、
さあ、ベルリンに戻る国際便。
で、再び恐怖の、
谷口さま、谷口ケンイチロウさま、
と呼び出されます。


またぁ?今回は時間も間違いないし。
やべ、 象牙隠してたの、ばれたかな。

もうすでにゲート付近は込み合ってるし、こういうのけっこう恥ずかしいんだよな、みんなに見られるし。


「谷口ですが、何でしょうか?」
「スーツケースの中に、確認できないものがあるので開けさせてもらっていいでしょうか?」とのことでした。

えー、鮭フレークとか、大量の梅干しとか、ストリングチーズとか、魚肉ソーセージとか、缶詰とか取られるのー?。

ベルリンでは飢えた妻が凍える巣穴で待っているというのにぃ。
テンション下がるなー。
もうどうにでもなりやがれ。
「どうぞ、開けて調べてください」


「カメラで見た際、何か、大量の金属が入っているようなんですが。。」係員
「はぁ、金属。それなら、ステンレスのスペーサーで100本近く入っていますよ。」けん(彫刻に使うとか言うと長くなるので何も言わない)
「確認させてもらっていいでしょうか?」係員
「どうぞどうぞ」けん(なんだ梅干しじゃなくてそっちの方か)
じゃらじゃらとものすごく重い梱包を取り出す。(これだけで10キロ近くある)
「別に武器とかじゃないんですよー」けん(でも確かに長さ15センチで径が2センチくらいの中空なので大量の銃身っぽいね)
「なるほど確認致しました、
問題ありませんでした、
今回はお手間をとらせて大変申しわけありませんでした」
と何度も何度もお詫びをされる。
「え、いえいえ、こちらこそ、変なもの入れてすみません。僕はもうこういうの慣れっこなんで全然大丈夫ですよ」かわいそうな係員さんに逆に変な気を使い始めるけん。謝るのは得意だけど、謝られることはめったにないし。
だって空港で働く人達は本当に大変だと思う。
いろんな変なやつがいろいろ変なモノを持ち込むんだもの。

まあ、それはともかく、しめしめ、肝心のブツがばれなくてよかった。

元気いっぱいベルリンへ。




ベルリンに帰ってきてから、さっそく仕事机に向かって気付いたけど、「これが凹み彫刻」的な鎧、「やらなきゃ」みたいな無意識の重圧がとれて、心が身軽になれている自分がいました。

こんなのつくりたいな、かっこいいだろうな。
という、意欲とワクワクが倍増、フサフサ!!(アデランスじゃないんだから。。)

真っ先につくったのが凹みハウス。
これ、前からやりたかったんだよな。

将来的にはこれを木の上に設置して、コウノトリとかが営巣してくれたら最高なんだけど。とけっこう本気で考えています。
凹みハウス_a0144713_00241826.jpg
凹みハウス_a0144713_00235830.jpg


ついでに4月の出来事も。

4月のある日、ふと思い立つ。
曲げじゃなくてもっと大きな範囲での曲面が欲しい。
そんなもんできるのか、あの工具を買ってみようか、
どのメーカーがいいかな。
いやいや、まずは身近なところで実験してみよう、
ああやって、こうやって、こんな具合かな、
と試行錯誤してみる、
と、やってみたら見事、当り、

練習すれば相当使いこなせるテクニックを発見。大興奮。

いや、でもちょっと待て。。。。なんで今までやらなかったのだろう。
本当にはずかしい限りです。
なんでただボサーとビールを飲んでいたのだろう。

でも言い訳を言わせてもらうと、
こういう発見、進化は同じことを長い間、続けないと出てこないんだよな。
端からみるとどんな簡単にシンプルに思えることでも、
自力でそこに辿り着くには、本当に地道な労力が必要なものなんです。

さらにさらに、自分がその解決策を必要としていない時点では、それは絶対に見えないのです。


はちょっかいの悲劇。

さて、僕が最近取り組んでいた彫刻をあやちゃんにお披露目する機会があった。
とにかく、一番近くにいるので、一番僕の彫刻をわかっている。
なんて言うかな、気に入るかな、と
ドキドキしていたら、

彼女、美術評論家みたいな面持ちで、
「うん、ハチョッカイみたいだね」
とのことでした。

はぁ、さすが言うことが違うな、ふーむ、

でも、いまいち、
というか、全く意味がわからなかった。
さらに
「この辺の形がハチョッカイだよね」
とのこと。
わからない。
まじでわからない。

でも本人は、気持ちよさそうにドヤ顔しているし、

よくよく思い当たるところをひねり出してみる。
ん?あっ!
もしかして、もしかして、三国志、、、、じゃないや。
西遊記に出てくるブタの妖怪、猪八戒(ちょ・はっかい)、
が持っている馬鍬(まくわ)の形を言いたかったの?

そうだとしたら、まじうけるぅ!!
しかもどちらかというと、沙悟浄が持ってる半月刃の宝杖(槍みたいなやつ)の方が似てない?

「それってもしかして猪八戒のこと?」
と聞いてみた時のあやちゃんの顔といったら、それまでのドヤが一気にしぼみ、照れが入り交じって、まーあ恥ずかしそうだった。

でもそんなことにめげない彼女は、
その日の晩から、
そう、
あろうことか、僕のことを猪八戒くんと呼んで逆襲してきた。
僕もやめとけばいいのに、「はい、ハチョッカイだブぅ」とかいって応えるから、
はぁ、
すっかり、ハチョッカイという呼び名が定着してしまいました。

こんな不条理なことありますか。

しかもとらえようによっては、40歳にもなって、妻に豚呼ばわりされてるみたいだし。

これにはぶぅぶぅ文句も言いたくなるぶぅ。

by hecomi-study | 2017-05-31 00:27


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