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季刊/凹みスタディ

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2018年 12月 28日

天使が住む家

12月、そして冬至を迎え、
今年も無事に暮れようとしています。
みなさんにおかれましては、どんな年を過ごしたのでしょうか?


こちらベルリンは寒いし暗いし、街もすっかり静か。
我が家も例外にもれず、静かで、心地よく過ごしております。


ただ、11月下旬に、やたらとうんちを踏む週があり、3回靴を洗いました。
とほほ。(何故かあやちゃんは大喜びでした)

いいことも悪いこともありますが、(いいことは、、まだよくわからないので書けません。悪いことは、アメリカやスイスでのコンペに落ちたことです、はっはっは)

それでも、
こんなに全ての時間を制作につぎ込める時期もあまりありません。

いつやるの!?
今でしょ!
(こんな塾の先生、いましたよね)


11月下旬、スペインでの個展が終わる。
搬出、搬出っと。

ギャラリスト、ホセアントニオ
「けん、とてもいい話しがあるぞ、スペインのとても重要な教会での展覧会があるんだけど、現代美術としてはタダ一人、お前の作品が選ばれたんだ。テーマはエンジェルだ、天使だ、知ってるか?」

何が重要なのか、何故選ばれたのか、全く話が見えてこない。
けど、いくら日本人でも天使くらい知ってるよ。

「ベリーベリー、インポルタントー、やるだろ、やるだろ、天使、作るだろ?」

はい、とても重要な仕事なのね。

「エンジェルだぞ、けん、エンジェル。」

なーにがエンジェルだよ、悪そうな顔してるくせに。
(ホセアントニオは、ジョージクルーニーを太くし、マフィアに属させたような風貌だ)

話半分で聞いてたけど、人生、何があるかわからないな。
だって、スペインの片田舎にある、有名な教会に、、それとも有名な展覧会?、、話がまだ見えてこないけど。

そこに、一日本人が、天使をつくる、、、
はあ?
はあ?
字面では、ほとんどの方がピンと来ないのでは。
僕でさえピンときていないのだから。
いったいどんな経緯でぼくが選ばれたのか、それさえわからない。

ということで今、目下のところ、ほんとに天使をつくっています。(スタディモデルだけど)
その教会のある町の形が、これまたほんとに天使みたいな形なんです。

「あやちゃん、モデルになってくれなぃ?」とふざけたら、まんざらでもなさそうだった。

ふぅーん。
女性って、羽なんかが欲しいものなんでしょうか?
尻尾とかの方がずっと役にたちそうだけど。

写真はレルマという町の形をモチーフにつくった、天使(ぽい)彫刻。
現在、仕事場の隅っこにぶら下がってます。
天使が住む家_a0144713_01265426.jpg


10月下旬 今度こそベルリンで落ちつく。
9月からの一連の移動が一段落し、正直ほっとした。
しばらくは人に会わなくていいくらい、たくさんの方々に会って、遊んでもらった。

さてと、生活を立て直そう。
時差で生活リズムが変になってたし、
食材もしっかりと買い込もう。
部屋を使い易く修正して、
アトリエの壁を真っ白く塗り直す。
新しいキャンバスに向かっている、絵描きのような気持ちになれて気が引きしまる。

何からつくろうかな、ルンルン、、、。



10月中旬 ベルリンに帰ってきた!
と思ったら、今度は台北です。
でも、二人ともさすがに行く元気はもう無い。
ベルリンからの遠隔操作に挑戦しました。(彼らはすごく優秀だし)

いい展示だったけど、結果は、、、
チャカちゃん!

うーーーん、いくらなんでも、もうちょっといきたかったなぁ。
うーん、何が悪かったのかなぁ。
これじゃ、計算が立たないなぁ。
道のりは長いなぁ。



10月11日、
やっと、ベルリンに帰ってきた、と思ったら今度はアムステルダム行きです。
アムステルダム国立美術館での搬入と、もろもろ。
オランダはだーい好きなので、疲れるわけがない、、、
、、わけがない。

なんてったって、そう、この国にはロッテルダムのギャラリスト、ミリアムがいるからね!!
今年は、日本にたくさんの台風が上陸したけど、
アムステルダムにも一個、上陸したようです。

彼女はとにかく人をいっぱい集めては、

「うふふ、けーん、何かストーリーを聞かせてぇ」

ってな感じで、
僕に何か話せ、と振ってくる。

その度に僕はなんだか、、ゾゥとする。
ストーリーってなんだよ、何についてのだよ。

ただでさえ、人前で喋るのが苦手。変な汗も出る。
日本語で、しかも事前に何度も練習していても、とてもお上手とは言えない。
それが英語ともなると、もっと練習が必要なのに、、、。
まぁ、ミリアムを責めてもしょうがない。
もっと勉強しようっと。

そうそう、いつも書くのが後回しになるけど、展示はばっちり決まりました。
天使が住む家_a0144713_01272338.jpg



9月の末日、
ベルリンに帰ってきた、と思ったら今度は日本行きです。
うふふ、僕の自信作(札幌市民交流プラザ彫刻)のオープニングと、
台北のアートフェアの準備です。

最初の3、4日で、メインになる彫刻を台北に発送。
どこにも遊びに行かず、いろんな誘惑にも負けず、雨にも負けず、力を蓄えました。

10月6日から、
オープニング、祝賀会、テープカット、取材、お祝い、お礼、挨拶、背広、笑顔、取材、撮影、出席、慇懃に挨拶、じっと静かに座ってる、などなど、
どれも慣れない不得意なことばかり。
これでも出来うる限りのことはしてるんだけど、、ちゃんと出来ているのかな。

それでも、
完成した彫刻が嬉しそうに(少なくとも僕にはそう見える)、気ままに、気持ち良さそうにクルクル廻っているのをみると疲れも吹っ飛びます。
ぴったりの居場所をみつけられてほんとによかったね、彫刻さん。


さーて、仕事は終わってあとは遊ぶだけ、
俄然張り切っちゃいます!
酒、温泉、ビール、刺身、ワイン、焼き鳥、ドライブ、紅葉、ハイキング、梅干し、居酒屋、湖、馬鹿話、焚き火、おつまみ、シャケとば、乾杯、
もう好きなことばかり。

さて、わざわざドイツからクリスティーネとアルミンが来てくれたので、レンタカーでお出かけです。

途中、熱望されて日本のスーパーマーケットに連れてったのだけど、
二人とも異常にテンションが上がっていた。
なぜか、長芋一本をにぎりしめて離さないクリスティーネ。
「それ、夜、食べるの?おろし器とかあるの?」と聞いてみると、
「うふふふ、ベルリンに持って帰って、かわいい孫にあげるのぅ。」
ですって。

??ドイツにはそんなおかしな風習もあったんだ、、。
あと一週間、日本に滞在するのに、いいのかなぁ。



連日の飲み会と、極度の渋滞でぐったり疲れたけど、
なんとか小樽のホテル着。

夜は古い友人と飲む。

次の日は忍路経由で余市へ。

○忍路でタコ遊び。
僕とあやちゃんは忍路港が大好き。
なぜだろう、とにかくものすごく素敵な時間と空気が流れているからかな。
クリスティーネとアルミンにもみせてあげようと、港に車を停める。

その瞬間、一艘の船が港に入ってきました。
そして、なんという幸運か、その船は今まさにタコ漁を終えて帰って来た船だったのです!
わーい、タコタコ。食べてもおいしい、みても楽しい。
しかも、漁師さんが岸に一匹投げてくれて、僕たちは間近でキャーキャーできたのです。

アルミン(外科医さん)は、ひとり海岸でウニの殻とか、蟹のはさみとかを拾っていたのだけど、なぜか、カサカサになって砕けそうな藻を拾って大事そうにタッパに入れていた。ドイツに持って帰って何に使うのだろう?
絶対に食べれないぞ、あれ。出汁も出ないぞ。




9月末、バルセロナへ。
このギャラリーでは3回目になる個展。
わーいわーい。
大好きなバルセロナ、たらふく喰って、飲んだくれるてやるぞ。


今回はバルセロナギャラリーウィークというイベントに合わせた個展なのでオープニングパーティーは2回。。
??
よくわからない。

2回とも、なんか急に喋らされるし、もーぅ、言ってよぅー。
ちゃんと準備するからさぁ。
でもどちらにせよ、もっと英語の勉強しなくちゃ恥ずかしいな。
一向に上達しないな。

バルセロナの総領事の方にも来て頂き、挨拶までしてもらう。
当日、ホセアントニオから聞いた。
前もって言ってくれたら、もう少しいい服きたのに。



ガウディが最初に設計したという建物での朝食。(最近オープンしたらしい)に招待されたのだけど、
これがもう、みんなゴージャスに着飾って、大変ご立派な会食だった。
シャンパンとか出るヤツ。

ぼくはなぜかジャケットを羽織っていたので、まだしも、彩ちゃんはちょっとかわいそうだった。(てろてろの運動靴にジーパン。。。)

教えといてよぅー。


それでも、
帰りの飛行機では、美しいモンブランも見れたし、
期待を裏切らない街でした、バルセロナ。


いやいや、そんな話しではなく、肝心の作品と展示はどうだったんだい?
うん、あやちゃん曰く、今までのベスト。
しっかり合格点を頂けました。

というか、合格点は当然、
毎回、しっかり準備し今までのベストを叩き出して成長していかないと、この世界では生きていけないんじゃないかな。

ひどい世界に迷い込んじゃったな。
正直、とっても不安です!
でも、ワクワクもします!
うふふふふ。

写真はみんなで彫刻と触れ合ってますよ風な、やらせ写真です。

天使が住む家_a0144713_01271377.jpg

9月はゆっくり過ごせる、、、
訳はなかった。

けんが背中をぎっくりして、。
その穴を埋めようと奮迅した
あやも、腰をぎっくり。



バルセロナの個展に合わせてカタログ制作、
これもとても急。
なんでこういう大事なものを2、3日で作ろうとするのだ、あなたたちは。


ある日、急にスイス、バーゼルの街彫刻(小さい)をつくるはめになる。
ハンク(香港のギャラリー)がスイスのアートフェアに応募したいから、かっこいいプロポーザルが必要なんだって。

これも!
そういうのって、僕みたいなぺーぺーなら尚更、ちゃんと本気でやらないと絶対受からないし、どうして、もう少し前もって言ってくれないかなぁ。
あー締切、〆切り、どっちを向いてもシメキリばっかり。
でも、ぼくのような意志の弱い人間には、ちょうどいいのかもしれない。
それがないといつまでもダラダラするし。

いくつかの締切がたてこんだけど、
それにしっかり対応できた僕たちを褒めてあげたい。
そう、ポジティブに行こうぜ。

来年もなんだかんだ、忙しくなりそうです。
本当にありがたいです。


○税理士さんのオフィスへ。
あやちゃんが彼らの作った書類のミスを見事、指摘する、、、と

クリスティーネが猫なで声で
「ねぇぇ、あやこぅ、うちで働かない?」

けん「ほぅ、金になるかもな」
と一瞬、思ってもみたが、

あ、危ねぇ、これは、、これがヘッドハンティングというやつか。

せっかく二人で、専業美術家になったばかりなのに、冗談じゃねえ。
ここまで来るの大変だったんだぜ。

早速、きつく、あまり丁寧じゃなくお断りをいれました。

あれ、言ってませんでしたよね。
彩ちゃんは今年の4月13日から晴れて、
凹み一本に舵を取ってくれたのです。(彼女の40歳の誕生日です)

10年以上、働いていた職場(韓国人の巨匠のアシスタント)を辞めて、
僕の作品一本に賭けてくれるのです。

期待に応えられるだろうか。
凹みで我が家の全生計を立てられるだろうか。
もう一度、バブル期や氷河期が来るのではないか。

不安? そんなものはありません。

なんてったって、俺様ですから。

 






by hecomi-study | 2018-12-28 01:29


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