2017年 11月 04日
11月でしょうか? 夏時間も終わり、ベルリンは16時でほぼ真っ暗。 滅入る季節の始まりです!皆様、気をつけてくださいね。 (凹みなんてものをやっているので、僕はこういう季節はけっこう得意だけど) ○ロッテルダムの個展搬出。 ひどい宿。(ミリアムが予約したんだけど、要はただの○れこみ宿) ひどい天気。(涙がにじんでくる風でした) でもいろんな人に会えて、 ひとつ、実感を持って確信できたこと。 いいものをつくる。 これだけが美術家にとって全てだということです。 いいものさえあれば、僕なんかいなくても、(いない方がいいことの方が多い)、作品が勝手に歩きまわるんだな、と。どんな宣伝なんかより効果的ですよ。 厳密に言えば作品は歩きまわらないけど、それを観た人達の心を捉えることが出来れば、その人達が感じた紅葉、、高揚は想像もつかないところにまで運ばれていくのです。本当に実感しました。 だけど、 いい作品さえつくればいい、とは言ってみるものの、それは想像よりもはるかに、いや、美術家にとってはどんなことよりも難しいことです。 いろんなそれに反対する物事や意見に振り回されるし、(最近はもう大丈夫だけど) いい作品をつくるには恐ろしく時間がかかるし、 まず自分という手強い敵になかなか勝てないし、 それにもめげずに、 いい作品さえつくればいいのだ、と、ただそれだけを信じて何年も何十年も進み続けることは、、、、言葉は悪いけど相当のバカにしかできないんじゃないかな。 幸い、僕にはその類い稀なバカさがしっかりと備わっておりまして。 いろいろと慌ただしかったので、今、オランダから戻ってやっと得た静かな時間、早くつくりたいな、とただ思えています。 9月と10月 やっとけりがつきました。 なにかって? 今年の展示予定を無事こなせたようです。 今年はあちこちで個展を7つやりました。(規模、形式は様々だけど) その最後の3つがとんとんとん、とやってきて でもなんとか無事に始まりました。 ○9月、ベルリン個展。 住んでいるのだけど、ベルリンで作品を露出することは少ない。 個展は2010年以来かも。 どうしてだろう、 いいのです、この街では、死んだふりをしとくのです。 さて会場はベルリン郊外の病院。 牧歌的な風景の中にあるし、 搬入日(オープニングの日)はピクニック気分。 お重に豪華なお弁当を詰めて、 秋にしては暖かい日射しの中、のんびりと病院へ。 写真20点と、彫刻6点、 前もってアルミンに作品も運んでもらってたし、 まぁ、2時間もあれば余裕でしょ。 ってな感じで。 いやー、 ひどい目に遭いましたね、120%自分の責任だけど。 展示会場の壁は釘等一切打てず、天井からの展示ワイヤーで作品を吊るのだけど、 まーっ、これが難しかった、し、ハプニング続出。(忘れたいので書きません) 12時から始めたのだけど、最初の一点を吊るのに1時間近くかかった。 (オープニングは16時半からです) あれ、これちょっといくらなんでも時間的にやばくね、、? けん、あや真っ青、冷や汗。 しかもこの廊下、すごい人通り。(どこかが不自由な方、オペに向かう外科医さん、もしくは急患の方々なのでめっちゃ気を使う) いやー、展示場所の下見を日曜日にした僕らがバカ過ぎた。(日曜日は人っ子一人いませんでした) 二人とも泣きたくなったけど、男の子なので、、、? とにかく超フル回転。 やっとのことで最後の作品を据えたとたん、 最初のお客さん、みきさんと手塚さんが来てくれた。 時計をみると16時32分くらい。 いやー、これだけてんぱったのは久しぶりでした。 ○9月、オランダ個展。 こっちもまた、ヘロヘロでした。 搬入前、 二人とも、原因不明の風邪。 UPS(作品を運んでくれる運送会社)が箱を取りにこない。(こんなことは一度もなかった) 飛行機が遅れる、深夜1時にチェックイン。 スーツケースが壊れる。 送った彫刻のパーツが曲がる。 頼みの綱のフイドもひどい風邪。 マンハイムのセバスチャンから送ってもらった、出品予定彫刻が届かない。 ミリアムとの喧嘩、だって掃除が全然なってないんだもの。 まあ僕も謝ったし、彼女も謝ってくれた。 滞在期間中、常にひどい天気。 楽しみにしていたホテルニューヨークが満席。 宿に電話の充電器を忘れる。 なんとメインの吊り彫刻が落ちる。しかも2回。2カ所壊れる。 重い彫刻が落ちる時の音って、けっこうゾッとするものですよ。 文字では表現できないけど、2度と聴きたくない。 1回目は、彫刻を吊るワイヤーの根元のフックごとごそっと抜け、 ドーーンっっっと落ちた。 これはやばい、ということで、フック、ワイヤー全て交換し、もう大丈夫! 我ながらいい出来だ、ちょっと試しに引っ張ってみようかな、とグイグイやってみるがびくともしない。 次にぐいんぐいん揺らし、そして、「あやちゃん見て、こんなに強いよ」と言った瞬間、ドーーーンっっっと落ちた。 あやちゃんも。。。。「んもーーーーぅ!」とあきれ果てるしかなかった。 仕方ないので、 ミリアムの夫、フイドと吊りのワイヤー構造を検討する。 けん「いやいや、そんなことしなくてもこうでいいんだよ」 フイド「いやいや、力学的にここにかかる重さは彫刻の数倍になるんだよ」 けん「そんなわけはない、僕の考えでは、ほら十分強いんだから。今まで何度も吊ってきたんだから。」 フイド「ふー。けん。わかったよ、こんなことは言いたくないけどね、僕は大学で教えていてね、、、しかもその専門はまさに、こういう場合の吊りの力学なんだよ、その僕がこう言ってるんだよ。」 けん えーっ、超専門家じゃん。よくこういう人にえらそうに講義してたもんだ。 なんだかとても恥ずかしくなったけんは、大人しくフイドの意見を取り入れましたとさ。 後からミリアムに聞いたけど、フイドは物理の学部長で、一度に600から900人の生徒に講義する、大先生らしい。 後日、丁寧に吊りの力学を図面で説明してくれました。 オープニング、 いつ彫刻が落ちるか、誰かケガしないか、とかが急に心配になり、あまり落ち着かないままでした。顔が真っ青です。 ロッテルダムで数少ない、よかったこと。 宿が完璧、以前泊まったことのあるヨリーンの家。 ロッテルダム一番のアップルタルトにありつく。 日本のラーメン屋が出来ていて、入ってみたけど大満足。 ホテルニューヨークの対岸に新しい飲み屋を見つける。 新しい展示手法にトライできた。 10年来の知人、シャックリーン、アルターさんが来てくれる。 ベルリン ○税理士さん、クリスティーネとのミーティング。 右目の周りを青く腫らした彼女は、「歩いてたらつまずいて転んじゃって、ぶつけたのよぅ。昨日は痛くて全然動けなかったわ。。うふふ、もう私ったら、、ファニーよね(funny)!」 えーっ、いやいやそれ全然ファニーじゃないよ、大変だったでしょ。大丈夫? けん、あや、なんて言ったらいいかわからなくなる。 ファニーってそういう時に使う言葉なのかな。 どっちかというと、そういうこと言っているあなたがファニーですよ、クリスティーネさん。 8月 みなさんはどんな8月を過ごしましたか。 こちらはというと、 いうと、 ずいぶんと限界値を押し上げられた気がします。 ロッテルダムの街彫刻のトレース、新素材、 宇部は旧吉部小学校の凹み、 ロッテルダムの世界遺産、ファンネレ工場の凹み彫刻、 そして、札幌の街彫刻用の3度目のトレース、 などなど、これら目下取り組んでいる作品に、それぞれ新しい挑戦をこめることが出来ました。 そしてそれらが、ことごとくうまくいっているような。 (錯覚かもしれないので期待はしないでください) 階段を一段、上がろうとしている感じ。 あとはただそれを続けてごらん。 下は宇部、旧吉部小学校の凹み彫刻。かなり気に入っています。 ご覧の通り、風車を意識してつくりました。 ある日、起きたら、肩がとても痛い。 やーい、四十肩だ、とわんぱく姉さんにいじられるも(なぜか彼女は大喜びだった) いや、これだけ運動してるのにそんなことはありえない、 と不思議に思っていた。 2日間くらい、原因を考えていたのだけど、、 あっ、あれだ!思いだした! 彩ちゃんと月に1回のアジアマーケットでの買い出し。 うまそうなものがいっぱいあるし、興奮したけんは、 そうだ、彩ちゃんに好物のエビを一杯買ってあげよう、と思い立つ。 袋詰めの冷凍エビが入った巨大冷凍庫に手をつっこみ、これはどうだ、これもよさそうだ、と品定めしていた。 と、大ぶりのいかにもおいしそうなやつが詰まった袋があって、それを引っ張りだそうとする、も重いし、左側の引き戸を開ければいいのに、右側から無理して手を伸ばし引っ張った。でも他のエビに引っかかってなかなか出てこない。こいつらまだ生きてるのか? 今度は頭まで冷凍庫につっこみ、グィッと。 ビキッ!て感じの鈍い痛みが走ったけど、 まあいいや、気のせいだろ、と思うことにした。 そういう顛末でした。
by hecomi-study
| 2017-11-04 01:47
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