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季刊/凹みスタディ

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2016年 12月 11日

台北着

台北日記

(夜とか暇なのでけっこう丁寧に書き留めてみます)
(ちゃんと報告とかしないといけないのかな、ということで真面目にやります)
(でもこんな報告書だしたら袋だたきにあうんじゃないか)

(なんて言ってて11月中旬、彩ちゃんが合流した以降はすっかり、すっきりさぼりました)


10月12日

大きなデザインバックにPVCその他もろもろを入れて持っていこうと考えてたのだけど、
ベルリンの我が家の玄関を出て少ししたら、持ち手の一カ所が切れ、荷物が階段を転がりおちる。
ほんと、凶器でした。
100m歩いたらもう1カ所切れる。
(最初は4カ所取っ手があったので残り2カ所)
この重さを想定してつくられてないらしい。
誰も責められません。

その他にスーツケースとバックパックがあるのだけど、
こいつらはもっと重い。
こんなに重かったのは初めて。特にスーツケースは電動工具達、ネジ類が入っているのですごい密度で重い。
あちこちの階段で持てなくて、もう泣こうかと思ったけど、男の子なので最後まで泣きませんでした。

前からあやちゃんと話しているのだけど、
アーティストインレジデンスって、僕みたいなつくりこむ作家にとってはどうしたってリスクがある。
だって全ての必要な設備、素材が揃った自分のアトリエを出て違う 場所に行くわけだから、どうしたっていろんな面でクオリティが下がりがちだ。

そんなのを繰り返してたら作家としてとんでもないところに落ち入ってしまうはずだ。

じゃ、どうするのか、

とっても簡単です、
クオリティを下げなきゃいいんです。
普段使ってる何重にも吟味を重ねた工具や素材は絶対現地では手に入らないし。かといってその土地の素材で、工具で出来ることをやる、というくらい器用ではない。
だったらどうしたって、想定できうる装備は持っていかないといけないんですよ、けんくん。

もちろん、その滞在先ならではの形、アイデアは大事にして作品に反映させるけど(それがこういったプログラムの意義だと思うし)、それを実現するのはやっぱり今まで培ってきた技術だと思えます。

それ抜きにゼロからいいものをつくろうと思うと、それこそ、何年もかかると思う。(もちろんそれを出来る人もいるのだろうけど、僕には無理です)


さて、空港ではもちろん重量オーバーだったのだけど、
素敵に見逃してもらった。
サンキュー、
ひとつおぼえの、アリガト、を繰り返す変な兄ちゃん!


トルコ経由、台北空港着、
両替してプリペイドの手続きをして、
タクシーで一路滞在先へ。

セキュリティのヘッターの案内でお部屋着。
広くてびっくり。テンションあがります!!
とてもいい部屋をあてがってもらえたかも。
これも、秋吉台国際芸術村の派遣だからだと思う。
感謝です。
自分一人でぴよーんと来ても、らちあかないよな。
(後にほんといい部屋だったことが発覚する)

荷物が重かったので体中が痛く、鏡をみるとなんかむきむきになってる自分がいる、、
ほんとに。

まずは夜の買い出し。
木綿豆腐、醤油、日清カップヌードル、鰻蒲焼き缶詰、
ひもじく見えるかもしれませんが、ヨーロッパに住んでいるとこれらが本当に恋しくなるんです。

うなぎの蒲焼きの缶詰、とは言っても原材料には海鰻とかいてあった。
うなぎよりあっさりしていて、でもいい味。

あとゆで卵をお茶と八角で煮た、煮卵。

などを、ビール、セブンイレブンで売ってたワンカップでちびちび、(次の日からは玉泉という台湾米のお酒にグレードアップ)

うまい。
涙が出そうになる。
これだよね。
(実はむち打って買い出しにいったものの会計の時に、お金を忘れたことが八角、じゃなくて発覚。でもさすがは台湾人、20分後くらいにお金を持って戻ったら、ビールだけぬるくならないように冷蔵コーナーに置いていてくれた。そうなんだよ、一杯目がぬるいとその日がだめになるんだよ)
うん、台湾とはけっこう気が合いそう。

2日目

朝は時差でどうしても早く目が覚めるのでトロトロジョギングへ。
これをやっとくことで、少しずつでも自分が街になじむものなんです。
体のため、
というよりは自分の精神と、この街を理解するため。
そしておいしいお酒のため。

よそよそしかった部屋も、
自分の持ってきた物を配置していくとなじんでくる、自分の仕事場に思えてくる。出来上がったものや、パーツはけっこう準備してきていた。

地図、電圧変換機、コンセントプラグ、、、
もけっこう簡単にみつけたし、

事務局のみなさんにも挨拶ができた。(十数人もいるんですね)
僕担当のマーベルにもご挨拶。
すごくわかく見えるのに、双子のぼうやがいます。


午前中には制作できる環境が整う。


いやいやあせるな、
何をあせっているんだ、
もっとなじもうね。
こういう時は制作は二の次。

ということで本気の大掃除に入る。
ダイソーの100円(39元)ショップがあるので日本のお掃除グッズをいっぱい買えた。
本当に、助かります。日本語が書いてあるし。

日本ハムの試合がテレビで放映されていた。


15日
アーティストインレジデンスにおける最優先事項。
正直、僕にとってこういうアウェイに来たときの、最懸念事項は、語学、食べ物、気候、文化、歴史、コミュニケーション、、、、

なんてかっこいいものではなく、

蚊です。
ベルリンの我が家以外では、例外なく、ぼろくそやられてきました。
台湾なんか中国一雨が多いということだし、
それを考えるとすごく憂鬱だったのだけど、
なんと僕のスタジオ、住居、4、5日住んでみたけど蚊ゼロです!!
もう、僕にとってはこれだけでこのレジデンスは成功したも同然。

天国です。

でもなぜか台北で一番大きいホームセンターに行った時、ホームセンター内で4カ所刺される。みんな短パン履いてていいなぁ、気持ちよさそうだな、暑いしな、と思いこの日は勇気を出して短パンにしたのだけど、そのとたんやられます。
刺されるのは別にいいのだけど、その一カ所、一カ所がひどく腫れて痒くなるのです。もう、その痒い液さえ注入しなければ、いくらでも吸わせてやるのに。

蚊ベルマークみたいのがあれば、今頃立派なピアノとかもらえてるんだろうな。

いや、血液型、体質、アルコール、
と3拍子そろった、
トリプルスリーとでも言おうか。

誇りに思っとけばいいのかな。


16日

今週は、ただただ、時差ぼけに泣かされました。
ベルリンであまりに同じ生活を繰り返しているせいか。
夜の2時に例外なく眼が冴えわたり、日が昇ってやっと眠くなる。

何をやってても集中力がないし、じれったかったし、くやしかった。

どうしても朝まで眠れない、ということでそのまま凹みのトレースへ。
滞在先のすぐ近くでいい凹みを見つけておいたんだ。

日中は暑くなるし、人通りも多いし、早朝なら完璧だ、と思ったら、またがっつり刺された。
(最初の一分くらいです)
これはもう、いい凹みを得るための代償なんでしょう。
セットで考えよう。
ハンバーガーとポテト、
いや刺身と醤油か。


屋台に挑戦。おいしい肉まんと天ぷら。
インドネシア人街みたいなところで買ったんだけど、麻雀で覚えた数字が役に立つ。


Skypeであやちゃんに見せつけながら食べる。
(ちょうどこっちの夕食時間がベルリンの昼食休みの時間になるから仕方がない)

ドリルチャック。
を買ったのだけど、
ボッシュさん、中心軸ががっつり曲がってましたよ。
信じられない、
でも、交換してくれました。


21日
ウェルカムパーティー
会場へ行くタクシーの中でマーベルに、どんなパーティーなの?お酒とか出るよね?ビールかな?
まー、我ながらはしたない、と思う。
(結果はすごく楽しかったけど、飲み物はミルクティーにあのコリコリしたのが入ってるやつでした、名前を忘れた、ナタデココじゃないし、、)

3カ所刺される。

23日

トレースした凹みの今度ははめ込み。
うまくいった。
だいぶこの街の勝手がわかってきた。

ヨーロッパに住んでて、なっかなか手に入らないもの、
それは肉の薄切りです。

日本にいたときはわからなかったけど、薄切りのすばらしさ、おいしさ、手軽さを海外で感じた人は多いんじゃないでしょうか。

もちろん台北ではしっかり薄切りを売ってくれているので、
いつだったか3晩続けて、ブタのしゃぶしゃぶを食べた。
しかもPONZEと書いてあるポン酢もあるので

夜、ベグス、キンバリー、ヨン、スー、ヤヤと夜市へ。
台北といったら食い倒れ夜市!
ずっと行ってみたかったんだけど、一人で行ってもねぇ。テンションあがんないよねぇ。
ということでやっと行けました。
言い出しっぺが僕だったのでなんとなく皆を先導してたのだけど、いざ串に刺さった肉たちをみるともうダメ、
みんなほったらかしで、鳥のお尻とかなんだとかに夢中。
ベジタリアンのキンバリーはかわいそうだったけど、インドネシア人のヤヤ(女の子)なんかはいきなりがっつり牛肉の大群にかぶりついているし。生命力ありそう。。。
結局、夜市をはしご。


28日
アーティストとーく
5人それぞれ分野は違うけど、みんなレベルが高い。
みんな、そして僕なんか一番緊張してたけど、
もっとたくさんの人に聞いてほしかった。

こういうイベントがあった後は必ずみんなで飲みに行く。
一軒、二軒、、、
最後は滞在先の屋上です。

けんくん、子どもは寝る時間ですよ。


31日
ヨンとスーが一旦韓国へ帰るという。
お腹の調子が悪く、病院で検査してもらうそうです。
えー、せっかく仲良く慣れそうなのに、、
ちなみにめちゃくちゃ尊敬できる絵描きです。

11月1日

片岡さんに教えてもらった、素材や工具店がひしめく通りに、インドネシアから来ているベグスくんと向かう。

みたこともない動きをする、金具がたくさん。
こういうアイデア全部、作品に取り込みたい。
ほんとテンションがあがる。

そうだ、これこそが、ぼくがレジデンスプログラムに参加する意義かも。
(実際、かなりのアイデアがメインの作品に盛り込まれました)

11月2日
台北に来てなんとなく食べるものも一巡したら、今度は食べるのが億劫になってくる。小学生じゃないんだから、、、って、でも僕だけじゃないですよね?
一人だからかな、あやちゃんがいると毎日料理する気が湧いて来るのだけど。


朝、昼、晩、そして朝、昼、晩、朝、昼、晩、、、、、何を食べたいか、食べるべきか、どうやって料理するか、どこで買うか、どこに食べにいくか、じゃ何時くらいに買いに行こうか、ちょっと高くつくかな、そういえばあの調味料がない、、、、、とか、それを考えるのがめんどくさい、さい。

実はお酒を飲むことに比べると、食べ物にあまり興味がないのだと思う。
しみじみとそう思う。

そんな中、
今日の食べ物はあたりでした!
人生で一番かと思えるくらいのローストチキン。
近所の市場で何回か見かけていたやつ。今日は買ってみました。
皮から脂身までも旨味ぎっちり、つゆだく、臭み無し、身は引き締まりでもむっちり弾力もある、、、。ものすごくいい鶏をものすごく上手に調理しないとこうはならないよな。
弟子入りしよっかな。
チキンスタディ、とかいう名前で売ったりして。

ちょっと高かったけど。

スーパーで試しに買ってみた、ししゃものトマトソース漬けの缶詰。ピリ辛。
えって思う組み合わせだけど、これがおいしい!
シシャモの卵の食感とトマトピリ辛。
これおみやげにしよっかな。
海鰻を超えるね。


2回目のアーティストトーク、
これもおもしろかった。

みんな、けっこう変なことやってるよな。
(なぜか、安心できた自分がいる)

そして、40歳になってやっと、人のやっていることを素直に尊敬できるようになった自分がいる。



凹みスタディ 公式ホームページ
kenichirotaniguchi.com

by hecomi-study | 2016-12-11 18:49


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