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季刊/凹みスタディ

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2023年 05月 15日

イノシシ罠にかかる

やっと春、
久しぶりの更新になってしまいました、
書きたいことはたくさんあるのだけど、
ついつい流されて、時間が過ぎていきます。
では、いってみましょう、
キラキラ凹みライフ、ダラダラ箇条書き!

2022年5月
ロッテルダムアートフェア。
久しぶりの出張、とても楽しみにしていた。
オランダはいつだってなんだかテンションが上がる。

数日前に急遽、大きい彫刻を持って行くことになる。
もうちょっと前もって言ってくれたらな、、
これは大事な時にとっておこうと思ってた彫刻なんだけどな。
ま、出し惜しみするような職業じゃないしいっか。
ありがたいことなんです。

ついでに、以前、あるオフィスに買ってもらった作品の取り付けも済ます。うまくいきましたよ。
一緒にいるのはギャラリスト、ミリアムの旦那さんフイドです。
せっかくの休日なのにかり出された、みたくなってしまった。
彼のちょっとしたやさしさにいつもつい甘えてしまいます。。
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6月、
二人へ自転車を購入、ご褒美というより投資です。
自転車デビュー。
もっといろんな種類の運動を取り入れたい。。。
でも行動範囲も拡げたい、、、
そんな全てのニーズが合致、
これはほんとに意義ある投資だったな。
今年はとにかく乗りまくった。
思い切りペダルをこいで、いい景色をみて、
今まで知らなかったベルリンを満喫。
こういう投資はいくらやってもいいな。

ベルリン郊外、「太ったマリアちゃん」という愛称の大木を見にいく。

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もう恒例
めっちゃ気合いを入れ、模型までばっちり凝ってつくった
ベルリンの公共彫刻のコンペ2次審査、落ちたという知らせ。
二人とも、30分だけ悲しむ。

こんな時こそいつもよりしっかりと制作する。
僕らにとっては何よりも大切なこと。
そしてこれがこれだけが、心の支えにもなるのだ。

とはいっても、毎度コンペの書類づくりには、翻訳の方に入ってもらったり、いろいろな人の好意が関わっているのだけど、
落ちた時はそれが心苦しい。いつだっていい知らせを届けたいのだけど。



7月末
韓国へ。
一番暑い時期。
今回はテジョンビエンナーレへの参加です。
もうほんと王様のような待遇をしてもらいました。
ただでさえ、コロナで航空運賃が普段の3倍、
それでもけんとあや、二人でないと搬入は絶対にできっこない、とだだをこね、着いてみると、、まあ素敵なホテルをとってもらい、(最高に贅沢な朝食を毎朝食べれる)、
極め付けは、滞在中は美術館が指定する6軒のレストラン、何回でも顔パスで食事できる、という特権まで与えられた。いやー、もちろん全部制覇しましたし、おいしかった。

肝心の展示はというと、ばっちり、あやちゃんが最後まで粘って、最高のインスタレーション。
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さて、なぜ、どういう経緯で、全く縁もゆかりもない僕らの作品の展示に至ったのか?
数ヶ月前、いきなりテジョン美術館から連絡があって参加できないかとのこと、もちろん大喜びで参加することになったのだが、
落ち着いたころに聞いてみたところ、2016年に台湾のアーティストインレジデンスで、お隣さんだったユンとスーが僕らの作品を、キュレーターさんに紹介してくれたらしい。いやー、これは嬉しいねぇ、レジデンスがこういう風に次につながっていくんだね、見本のような形です。

もちろん、二人にも会って、つきっきりでソウルを案内してもらい、ご馳走三昧。お泊まりまでさせてもらった。
彼らは人気作家で、大豪邸を建ててしまったのだ。
次は北海道で会おうねと固く約束した。
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韓国、とてつもなくおいしいし、人は温かいし、
日本と韓国が組めば無敵なのにな。。。
人生初めての、韓国滞在でした。
最後は、あやちゃん顔が丸くなってましたっ。

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べるりん。
家のリノベーション。
一年延びる。最初は3ヶ月と言ってたのに、それが一年、もう一年。
あほかいな。


旧交。
セバスティアンを通じてポールと20年以上ぶりに会う。
まだ、外国ということを知らなかった頃、札幌のアーティストインレジデンスプログラム、S-Airで知り合った美術家が、
20年以上の歳月を経てまた出会う。3人とも全然変わってねーじゃん!
この友情は来年、ひとつのグループ展となり、ベルリン、ロンドン、と続いていく。
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9月、ベルリンでアートフェア。
Mikiko Sato Galleryからの出品です。
地元での展示、いやー、輸送・搬入が楽だな、
知人、友人も来てくれるし、楽しかったー。
今までなぜかベルリンでの露出は少ないので、これからは増やしていきたい。

ちなみに写真に写ってるのは僕だと思ってたら、これあやちゃんです。似てきた。
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キノコ狩り。
これも楽しかったー。ドイツで初。
やっぱり採取、収穫というのは本当にワクワクする、
そして帰宅後の
ドライマッシュルームづくり。
これもけっこう性に合っているよう、意外。
(乾燥中はキノコの匂いの充満する中での生活、制作となった。彩子談)

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2022年11月、帰札。
年々、日本に帰ることが嬉しくなる。
けんもあやもそろそろ、 いつまであっちにいるのやらと思っています。

さあ、石狩川凹み遊行、調査本格始動。
2021年の12月にテンポラリースペースで始まった、この計画。
前にも書きましたけど、テンポラリースペースの中森塾長が、1989年に実施した、界川遊行へのオマージュ、でもあると思います。
何年かかるかわからないけど、以下、企画の概要です。


-今は見えない石狩川を辿る-

 みなさんもご存知の石狩川。
今は静かに北海道の中央を流れている河ですが、かつては蛇行を繰り返す暴れ川として何度も洪水を起こしていました。それを改善するために、29カ所の捷水路工事(蛇行する河のショートカット)が実施され、流程が約100km短くなったと言われているんです。現在の石狩川沿いにたくさんみられる三日月湖はその名残であり、ということは、かつての石狩川の本流だったんですね。。その今は分断され、かろうじて残っている三日月湖や河跡地形も、一本の線として繋ぐことができれば、石狩川の原始のながれが見えてくるんじゃないかと、考えるととてもワクワクしてきました。
どうやるのかと、いろいろな切り口はあると思いますが、
もちろんそこはわたしの長年のモチーフである凹みでやってみたいと思うのです。
まず石狩川の三日月湖や河跡で凹みを採取していきます。その採取箇所という一つの点が、調査を続けることでだんだんと集積して線になり、やがてかつての川の流れがみえてくるという仕掛けです。

今回はあくまでもその第一弾であって、このアイデア・プロジェクトは今後ゆっくりと数年かけて全流域を網羅できるよう育てていこうと思っています。

って感じです。
ふーぅ、一気に喋った、ここで深呼吸。

今回は去年の11月中旬から調査を始めたのですがみなさんも想像できるとおり、雪との戦いでした。
上流部はもう雪が降っていたので、そこはあきらめて、今回は石狩川最河口から。

地面が雪に覆われてしまうのは、凹み調査にとっては命取りですので、とにかく積もる前までが勝負。
こういう感じで凹みの形をトレースしています。風景がとてもきれいなのが印象的。
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様々な表情をもった凹みを集めることができました。

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今回の調査では石狩川最河口からあいの里付近まで、
27個の凹みの形を集めることができました。
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集めた凹みの形を、硬く圧縮されたPVCの板で正確に切り出して再現していきますが、いよいよ、全ての凹みにこのオブジェクトをはめ込む準備ができた、11月30日に残念ながら雪。すぐ解けるだろうなんて思ってたらどんどん積もっていく。これにはびっくり、そしてピンチ。
今回は札幌のPROJECTAさんにも、サポートしてもらってるし、中途半端なことはできないぞ。

場所が確実に特定できる凹みをなんとか二つだけひねり出し、ピンポイントでその部分の雪かきをして、凹みフィッティングをしてきました。
魔法瓶数本に熱湯を入れて持っていったのだけど、それが大正解!!
雪中の凹みフィッティングはさすがに初めてだったけど、風景はとってもきれいだし、見るぶんにはいけてるね。
実際にやるぶんには、ちとハード。

こちらは石狩市新港南1丁目でみつけた凹みです    

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こちらは石狩川放水路水門の凹みです。
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全部はできなかったけど、これで胸を張って報告できる。


いい仕事をしたあとは、のども渇くわけだ。
そして、はい、ご褒美、あやちゃん実家にて。

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2023年も明けまして、
いろいろと展覧会が続いていく。
ドイツ、オランダ、スペインで一緒に仕事をしてるギャラリーが、ここに来て、ますます元気、いろいろな企画、アイデア、フェアに誘ってくれている。

本当にありがたいので、早くどーんと恩返しをしたい。
どうしたらいいんだろう、、
そんなの自分の頭で考えなさい。

今年の夏は札幌、そして9月には東川町で展覧会がある。
準備はけっこう万端、でもそれをさらに超えていかないとダメなんだろな。




3月、親友の訃報。

遠くだけど、僕がやるべきことはわかっている。
そう、こんな時こそ、ただ作品をつくることなんだ。
それだけは止めちゃいけない。
大丈夫だよ、満身創意。





4人の最終候補に残っていた、
青少年の家のための公共彫刻コンペ。
見事落ちる。
まだまだだな。
全てをつぎ込んだつもりだったので、これは効いたぜ。
今回は、2日間だけ落ち込んで良し。
恒例にはしたくない。



セバスチャン、ポール達とのグループ展。めっちゃやりやすかった、オーガナイズうますぎ。
彼らとは長いつきあいになるだろう。
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4月、ベルリンで紙媒体専門のアートフェアにハンブルグのみきさんのギャラリーから出品する。
2006年頃からやっていた紙を凹ませるシリーズで、もう10年以上、制作も発表もしていなかった。
ベルリンで一番いい、という評判の額屋さんにお願いし、ベストの額装をしてもらったし、展示もほぼ完璧でしょう。
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オープニング、一通り、お客さんと話したら喉が乾いてきた。
あやちゃんを誘ってバーブースでビールを買う列に並んでいたら、みきさんが強ばった顔でやってきて、僕の作品が賞の最終候補に残っているから授賞式に出席してほしい、と主催者が伝えてきたとのこと。
「はぁ?賞ってなんだべ?聞いてないし。
そんなことよりもこんなに長い時間、列に並んでるし、混んでるから並び直すのはもったいない。まずはビール2本買えたら行くよ。」と言ったらあやちゃんにちょっと呆れられる。並ぶのを代わってもらい、賞のアナウンスを聞きに行くことにした。正直、誰の、何のための賞とか、何の情報もないまま立たされていた。

こういうの期待してて絶対だめなパターン。
と思っていたら、けっこうすぐに名前を呼ばれ、
なんと!PAPER ART AWARD 2023 の銅賞に輝く。
House of Paperという紙媒体の美術館が主催で、受賞者の作品は当美術館が購入、展示し、栄えある美術館のコレクションとなる、というもの。

さらに嬉しかったのは、2003年にあやちゃんと僕がやってた美術家交流事業で、スペインから札幌に招待し、テンポラリースペースで展覧会を開催した、アンパロ・サルド(Amparo Sard)さんが銀賞だったこと。電話でだけど喜びあいました。

落ち着いてから、あやちゃんが買ってくれていた2本のビールで乾杯、でもなぜかあまり味がしなかった。

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アートフェアの翌日、5月1日、気分爽快、天気極上、サイクリングへ。
帰り道、
その前からみつけていたイノシシ園を、この日どうしてもあやちゃんにみせたく(いつも岩みたく寝ていてかわいいのだ)、園の柵のまわりを立ち乗りしていた。うりぼうに興奮したり、中のイノシシを見つけるのに気を取られたのだろう、坂道で落ち葉に隠れた木の根に見事引っかかり、一回転して、気がついたら土の上に転がっていた。相当派手にいったのでまわりの人たちも凍りついてたらしい。(でも、とてもきれいな受け身だったのよ、とあやちゃん談)
最初は、はずかしいやら興奮していて痛みは全然感じなかったけど、家に着いてから、肩、ひじ、指、腰、ひざ、青タンだらけ、そして右足の親指にあってはいけない痛み。
あやちゃんには、たいしたことない、骨じゃないと言っておいたが、
うん、うん、これはしばらく運動できないだろうと僕でもわかった。
あーあ。(賞もとったし、目つけてたインラインスケートに新調しようと思ってたのにぃぃ。)

3月には電車内でインド人家族の何十キロあるかわからないスーツケースを荷物棚から下ろすのを手伝い、左手首を痛め、未だに痛いし、
運動できないストレスからなのか、最近、右歯茎も痛み始めた。右手親指もなぜかやばそうだ。
満身創痍ってやつだ、、、

すぐに動きたがる僕だが(小学生か)、それでもここは我慢。(20日近くもじっとしてるなんて、けっこう拷問ですけどね)
急がば回れ。
あと牛乳、牛乳。飲んで治す。

ただ5月20日までには直したい。

なんてったって、その日は、人生初のボルダリング挑戦。(延期すればいいのに)
楽しみにしてたし、絶対キャンセルなんかしたくない。(一度キャンセルしたら、そのままズルズルやらなそうだし)


誰にでもある、譲れない物事、直感、
くだらないかもしれない意地、
恥ずかしいこだわり、

そんなのと水で僕は形成されています。






# by hecomi-study | 2023-05-15 00:58
2022年 05月 13日

ミミズクの歌

2022年5月、
なにかと暗い話も多かったですが、やっぱり春は来てくれるんですね。
いやー、久しぶりのブログ更新です。
やろう、やろうとは思っていたのだけど、
ついつい流されるのです。
いいのいいの、このくらいじゃないとこんなに長く続けられなかったし。


さて、2021年からです。

2月、ホームページが完成したからか、どうなのか、
1週間のうちに、新しい展示の話が数個舞い込む。
とは言ってもこういうのって全部実現するわけじゃないし。
それでも、僕らの労力をつぎ込んだホームページが早速報われてうれしい。

そして1週間のうちに、4つの美術館での搬出。
何だか、売れっ子みたいでしょ。
だけど、全然そういうわけではなく、
やりっぱなしだったのも含め、ただ重なっただけなんです。

3月
ギリシャのコンペ。死にものぐるいで、最強のプロポーザルをつくれた、と思ったけど、
ダメでした。
ノーマル、ノーマル!

4月
中国は深圳のアートセンターで東京エクスプレスという展示に参加。
初めてアーティストトークをズームでやった。
へー、コロナが終わっても、これからはこういうのもありになるんだろうな。楽しいか、と聞かれたら、やっぱり実際にその場にいられる方がいいかな。
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ある日、
気づいたら、一人で、うわっ、ビューティフル。。。
と言ってしまう、彫刻ができた。
恥ずかしいので、ここでは絶対見せないけど。



けんの小言。
それにしても、日本のメディアの方々。
責任、責任って。
なんで、そんなに責任を取らせたいのかい。
責任の取り方を知らない奴ほど、
責任を要求しているように見える、僕だけでしょうか。。
人間だもの、いろいろあるじゃない。
何かを成し遂げる過程でなんか、失敗のほうがずっと多いでしょう。
そのたくさんの失敗を乗り越えて、やっと自分が為すべき責任、責務を果たせるんでしょ?
だから、その過程のこまい失敗とかに、反射で反応しなくていいと思うんです。
この時代、いろいろ便利になったけど、この反射に伴う異常なスピード、そこはどうかなと思う。もっと、ゆっくり、じっくり見てあげよう。
少なくとも、ぼくのまわりの人は、どうしようもない時期の僕をそうやって見守ってくれて、ある時は我慢してくれて、僕を生かしてくれました。
決して蓋をしないでくれました。

そもそも責任ってなんじゃべ?はて?

ちなみにもし、
僕にとってただ一つ果たすべき責任があるとすれば、
少年の純朴、直感を忘れずに、自分の夢を追いかけ続ける、
ということくらいかな。

少年を保つのは簡単そうで実はとっても難しい。でも、
自分の夢に、船に乗っかってくれた人には、なんとかして新大陸を見せる、感動できる風景を見せる、少なくとも見せようと努力し続ける、
そういった少年の熱を内に保ち、冷まさないことが、僕たちの果たす責任なんだと思います。
ほんと、ごく特殊な職業の僕らにしか当てはまらない話だけど。
そして今日も僕は、こういうことを考えると、
よし、もっとしっかり制作しなきゃな、と思えるのです。




これまた、恐ろしく運気の落ちた2週間が訪れる。
●インターネット、電話、2週間通じなくなる。アパートまるごと。(これがベルリンです)けっこうきついですよ。
●荷物のピックアップに来ない。(作品の郵送が遅くなるとやばい)
●日本の財団宛の報告書、届かない。(これもやばい)
●リモート搬入、搬出中に、恐ろしい事実が発覚する。
某美術館のスタッフにお願いした彫刻の搬出、完璧な指示書をつけたのに、
なぜかそれを見ず、全てのパーツを分解してしまったバラバラ事件。
数パーツに別れるはずが、数十パーツに分けられていた。(けん、あや、びびった。どうやって元に戻すんだよ)
●4日連続、晴れてると思って走ったら雨にやられる。(これに関してはけんが無謀だった)
●父の足の具合が悪いようで、下手したら切断ですよ、と脅されたらしい。(これが一番びびった)
●ドイツの公共彫刻コンペ、3つ出して、全滅!
やっほー、
これくらい、ノーマル、ノーマル!


6月 ベルリンでのワークショップと駅での展示
僕たちの将来を、明るく開いてくれるような作品を目指しました。
そして、せっかくワークショップツアーに足を運んでくれるのだから、その方々への、尊敬と感謝。今までなかなかできなかったことをやろう。演出とか、準備とかも。


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フレスコボールでのリフティングに挑戦。
このボール、テニスボールとスーパーボールの中間くらいの大きさで(直径5cmくらい)、跳ね具合もその中間くらい、めちゃ跳ねるし、とても足で扱える代物ではありません。
でも、毎日の運動の時間は限られているけど2種類はしたいという僕。ジョギングに行く時、同時にポケットに持っていける大きさのボールということで思いつきました。
とにかくよく飛ぶので、最初は走り回されたけど、なんとか楽しく遊んでもらってます。



ベルリンから1時間ほどの、ミッキーとステファニーの家へ。
大自然の中にポツンと立つ邸宅。
彼らの絶品チリコンカルネの作り方を伝授してもらう。
DDR時代のバイクを貸してもらい、ミッキーとツーリングへ。
静謐な川を手漕ぎボートで満喫。

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なんだか、いつの間にか、
40点くらいの作品貯金ができていた!!
しかもちょっと前に二つの個展が始まったばかりなのに。
いいことなのか?
売れっ子なら、こんなことにはならないのです。
(つくった端から売れていくから)
でも、いいことだよ。


7月 一連の引越し騒動。
現在住んでいる家に、総リノベーションが入るため、数ヶ月他の家に移らなくてはいけなくなった。
7月13日引っ越し
9人の屈強な男たちが来てくれたが、丸一日かかる。
へとへと。

電気、インターネット、ガス、住所変更、
お風呂とキッチンで水漏れ。床がベッタベタに汚れてる。
水周りの垢。
なんか書くのめんどくさくなってきた。


オランダ、新規感染者がドンと増えて、
ロッテルダム行き、キャンセル。
ただ、慌ただしかったのでこのキャンセルは嬉しかった。(内緒だけど)


さて、3年ぶりの日本へ向けて。
PCR。
7月30日、日本へ。
東京で15日間の隔離。
(ホテル代や専用ハイヤー、もろもろ全部自腹です。ドイツでも出発前、日本到着時にもPCRして陰性なのに)
あほらし。
1日数回の居場所確認。
けん、それでも、いいジョギングコースとリフティング場所をみつけ、ごきげん、隅田ボーイになる。このためだけに、隅田川沿いの宿にしたのだ!!

この15日間の缶詰、でも彩ちゃんにとっては著書に集中できる貴重な時間になったのである。



お盆に札幌着。ちょうど猛暑が過ぎ去った時だったので、札幌のみなさんには悪いがとても住みやすい。
それでもこれからの温暖化に備えて、実家にエアコンを新調する。
真夏に帰郷するのが楽しみ!



9月 東川町に1週間滞在し、凹みを探す。
何から何まで、本当に楽しかった。
水も日本一なら、人間もまた一流、みんなかっこよかった。

いい凹みにも出会えたし、みなさんにやさしく遊んでもらったし、美しい渓流でニジマスも釣ったし、
美しい朝に近くを流れる忠別川のサイクリンロードでジョギング、さらに持ってきていたローラーブレードも最高に気持ちいい。最終日に、こけて膝を少し削ったけど。

好きな街ランキング、トップクラスに食い込んできました。
街の方々と交渉し、この滞在をコーディネートしてくださった、小林(俊)さんにただただ感謝。

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9月、10月、11月 彩ちゃんは今年の後半、著書に全てを捧げる。(ほんとに文字通り)
せっかくの日本なのに、ほとんど籠りっぱなし。
彩ちゃんの知られざるパーソナリティが、顕著になる日々だった。
文章から写真、書面構成まで、
妥協の「だ」の、濁点ほどの妥協さえ、許さないのだった。

そこに出版社である「かりん舎」さんの、辛抱強い知性という最強のツールが加わったのだから。
1x1=3という現象を、初めてみた。



僕の方も12月の個展に向けて、ただただ制作。今回は想いが違う。
ドイツでただ呑んだくれているだけだ、と思わせないよう、
培ってきた技術、体力、気持ちをしっかりとつぎ込みたい。
少しはましになった作品を、ここ札幌でみせたい。
いや、見せないといけない。

そしてこの気持ちが、
僕の制作パートナーである東興株式会社さんに伝わって、今回も温かく協力してもらいました。
(しかし、この3人朝からずいぶんと陽気だけど大丈夫?)
(本郷新彫刻賞や宇部ビエンナーレの彫刻制作もこの3人+彩子でやってます)
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12月 
本の完成。
一体何度、お互いの健闘をたたえあって、
一体何度、乾杯しただろう。
お疲れ様でした!

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個展が始まる。
こんなにずっと展覧会場に詰めているのは生まれて初めて。
たくさんの方たちの生の顔、反応を見られる。これはとても嬉しいことだけど、実はとても怖いことでもある。本当に怖いことである。自分の全てをさらけ出し、つぎ込み、そして、それを見ている人の反応を目の前で見るのだ…

それでも、こんなにたくさんの方が、知らないところで応援してくれてたんだ。と、心が熱くなる。

あと、藤倉翼さんから百万点の評価を頂く。
これは嬉しかった。
その後、この写真も撮ってもらいました。
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さて、展覧会場、テンポラリースペースの塾長は、中森さん。
僕にとって塾長の評価はとっても気になるところ。20年以上にわたってテンポラリースペースを作品の発表場所と決めてきたし、こんなに長く観てもらっている人はいないんじゃないか。


初日、塾長が出勤してきて初めてその展示を観る。
しばらくは無言だった。



やっと展覧会の最終日、なんとなく二人になったときに、
けんちゃん、ありがとう。と、一言。

うん、頑張ってよかったな、
全てが報われる。


◯石狩川凹み遊行、始動。

塾長は1989年に「界川遊行」というアートイベントを実施したのだけど、今は見えない川の流れを蘇らせる、というその手法に僕は大きな感銘、影響を受けた。自身で、今は暗渠となっている箇所も多いオランダのロッテ川や札幌の琴似川の流れを凹みを切り口に浮かび上がらせる、ということをやってもいる。

そんな中、今年の東川町滞在頃から、石狩川を流してみたい、という抽象的で漠然とした像が頭に浮かんでいた。石狩川河口の凹みはもうあるし、
上流にあたる東川の凹みある。あとはその間をつないでいく、あの激しく蛇行していた太古の石狩川の生命力を感じてみたい。
今でも点在している三日月湖で凹みを探し、最終的にはそれらを連らねていけばいいのか。
少しずつ考えがまとまっていく。


ある日、
この僕の仕事に石狩川凹み遊行って名前を借りてもいいですか?
と酔った勢いでしか言えないことを聞いてしまった。

が、
「えっ、いいよ」「それはいいライフワークになるんじゃない」
ですって。
よっしゃ!しめた!もう撤回はできないですぜ、塾長。

何年かかるかわからない仕事。
でも、
ぼくの中で何かがドクンと脈打っていた。

これは勝手かもしれないが、
それは同時に、責任をもって「界川遊行」という伝説を後世に伝えていくことでもある。




年末、たくさんご褒美が当たる。
彩ちゃんの両親に、素敵な温泉宿に招待してもらう。満喫。


そして、彫刻へのご褒美も。
花人の村上さんに無理やりお願いして、彫刻を花器にしてもらった。
いやー、なんか絶対喜んでるよね。
ほんとに幸せな子です、こいつは。

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蔦井さんとアグリスケープへ。
衝撃のおいしさ。人生のベスト鶏肉でしょ、これは。
こんなにかっこよくやってる人たちがいるんだ。



2022年、元旦
そして慌ただしいまま、年が開ける。
今年の抱負。
より負荷のかかった作品をみせることが、人の心を動かす唯一の方法、
それを身にしみて感じた昨年の個展。
ということは今年の抱負は自動的に、
「もっと負荷をかけた作品制作」
になります!
負荷って言っても何のこっちゃ?
という方(僕も含む)、朗報です、整理してみましょう。

挑戦する、という言葉でも置き換えられるかもしれないけど、既存の技術などに、作品を高めるであろう一手間、一労力を足すこと。
どうせなら一手間と言わず二手間ならなおよし。
とってもめんどくさいし、意味あるかもわかんなーい。
だから、なかなかやりたくない。
でもその一手間、二手間に慣れてしまえば、それがスタンダードになり、そこにもう一手間、二手間を加えると、トータルで三手間、四手間の進歩になる。
(そんな計算でいいのか?)

うーん、あまりいい例ではなかったかな。
自分でも混乱してきたぞ。

何はともあれ、今年も一年、負荷をかけて、元気にやってくね。
(強引な締め方)



1月 恒例の帰国前騒動(恒例になんてしたくないのだけど)
17日出国でまさか、15日にドイツのコロナ規制が変わり、PCR検査が必要ということになる。
すぐに、検査場に連絡するが、全て受付は2日前までということで、
当日は成田空港で4万5千円という選択肢しかない。ひとりの値段です。

さすがに凹みそうになったけど、何とか頭を下げて、その半額で検査を受けられる会場を手配できた。奇跡だった。
2万2千円、安くはないけど、4万5千と比べると破壊力が違います。


ベルリン着。
2、3ヶ月は、ひたすら静かに過ごす。
地味だったけど、こういう時に脂の乗った作品ができるから、おもしろい。
下は脂ののった、いや、ちょっと脂ぎった作品、笑。
(ふざけましたがいい作品だと思っています!)

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彩子、ある日突然、働きすぎからのストライキ。
けん、たまらず、交渉の席につくも、即、妥協。
彩子、見事、有給休暇5日間ゲット。


いよいよ、ベルリン街彫刻始動。
何で住んでるのに、この街のやってなかったの!
まっ、じっくりやってくべ。
せっかくやるんなら楽しまないと損だし。

長くなってしまいました。
お付き合い頂いたお礼に一曲。
あやちゃんが歌う「手のひらを太陽に」
作詞 彩子(部分)

ぼくらはみんな 生きている
生きているから 歌うんだ
ぼくらはみんな 生きている
生きているから かなしいんだ
手のひらを太陽に すかしてみれば
まっかに流れる ぼくの血潮
ミミズだって、オケラだって、
ミミズクだって、


えー!いやいや、ミミズかぶりすぎ、
ミミズに引っ張られ過ぎでしょ。

正解は、
ミミズだって オケラだって
アメンボだって、
です。



# by hecomi-study | 2022-05-13 00:20
2021年 12月 15日

アートエッセイ「世界凹み旅」

アートエッセイ「世界凹み旅」の出版と個展のお知らせです。
渾身の出来となりました!

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# by hecomi-study | 2021-12-15 10:11
2021年 02月 28日

公式ウェブサイト

凹みスタディ号外版です。

2021年2月、僕たちの公式ウェブサイトが完成しました。




2020年春から、準備してきて、約1年間。
時間をみつけては、少しづつ進めてきた、僕たちにとっては一大プロジェクトです。

それは2000年から、20年やってきた「凹みスタディ」を振り返るいい機会でした。


⚪︎きっかけ

この20年、ただすぐ前を見て進むだけ(時にはなんとか立っているだけ)、荒れた水面に顔を出して呼吸することだけで必死だった。

美術の世界にある独特の厳しさも身にしみた。
職業美術家は、作品販売が基本の収入になるのだけど、
それで食べていくことがどんなに大変で、不安定なものなのか。
どれだけの犠牲と我慢を必要とするのか。
たくさんの大切なこと、大事なものを、諦めたり、置き去りにしてきた。


あと、きちんと通用する作品ができない限りは、
発信してもあまり意味がない、
まだ攻めに回るのは早いだろう、という意識があり、主体的な宣伝は必要な分に抑えてきた。


それでもここのところ、 やっとだけど、やってきたことを振り返る余裕が出てきた。力まずとも、凪いだ水面に浮かんでいる自分たちに気がついたり。

転じる機運も高まってきたのかな。


そんな中、前代未聞のロックダウンという事態が起こり、、、
でも、もうメソメソ、怖がってばかりいる僕たちではない。

立て、立つんだ、けん、彩子、ジョー!!

こんな時だからこそ、真価が問われる。
望むところ、
自分たちその真価とやら、きっちり問うてみましょう。

せっかく静かで集中できるまとまった時間が手に入ったのだから、
とびっきり有効に使ってやろうぜっ。

という青春映画のようなきっかけでした。

(自分たちの真価については、、、ノーコメントで)


⚪︎感想
ひとつひとつの作品自体では、まだ人の心を強く突き動かすことはできない、と思っています。本当に。
それでも、この年月、注ぎ込んできた情熱だけは、このウェブサイトからなんとか伝わってくれるのでは。


⚪︎見所
ズバリ、各ページのトップにあるスライドショー(移り変わる写真)です。
数多くの候補写真から、僕が吟味を重ねて選び、順番を練りに練ったものを、彩ちゃんがゴリゴリ(容赦無く)添削していくのを繰り返す手法です。
お気に入りの写真を、何度、泣く泣く没箱に入れたことか。。。

好きな写真、綺麗でおしゃれな写真、そういうものと、見る側に語ることのできる写真は別なんだ、ということも学び、
構成・監修・編集者としての彩ちゃんの才能が花開いた瞬間でもありました。


⚪︎ウェブサイト制作
札幌の美術作家、武田浩志さんに制作をお願いしました。
僕たちの終わりの見えない、しつこい要求に我慢強く付き合い、さらに彼の美学を惜しみなく注ぎ込んでくれました。
僕が凹みを始める前からずっと作品を見てくれて、いろんなアホを一緒にやり、時には諭してくれる、まさに理解者です。


さて、
そろそろ、
ウォームアップも飽きてきたし、
攻めに転じようかしら。

# by hecomi-study | 2021-02-28 23:11
2021年 02月 14日

バイバイ2020年

2021年、明けましておめでとうございます。
今年こそは皆様が、凹みませんように。
翻って僕には素晴らしい凹みが訪れますように。

(今さら新年の挨拶?って声が聞こえます。中国では旧暦で2月12日が春節です。めちゃくちゃ言い訳がましいですが)


さて、2020年は世界が震えた年でしたね。
未だに、なかなか整理がつかないことも多いですが、
その後半を振り返ってみます。



えっへん、6月。

色々なことが動き出している。

世界がいい方向に進みますように。

不謹慎かもしれないけど、街が動いていなかった頃の(3月、4月)静けさが、今となっては少しだけ懐かしい。

(その数ヶ月後、ドイツは結構大変なことになったのだけど、この時は知る由もなかったのであった)




そんな中、あやちゃんが突然、
「私、かぶ、始めたの。」
というから、びっくり。

へぇ
なぜこの時期に株なのか。
いい銘柄を見つけたのか。
なんかニタニタ、
企んだ顔をしている。

ちょっと
ベランダに呼ばれて行ってみると、
新しい植木鉢に、、、、

カブの苗が出ていた。

僕はあまり言葉が出なかったが、、、
あやちゃんはしっかり、ドヤ顔。
なぜ、、、。

女性って。


うっふん、7月、
宇部ビエンナーレ・夏の美術室という企画で、
僕へのインタビューを掲載して頂きました。
子供向けの言い回しになっていますが、あれ、
普段の僕の喋りと、さほど変わっていない、
という事実を突きつけられました。




ここの学芸員の皆様とは、なぜかとても心が通じ、
今でもオンライン飲み会とかで遊んでもらっています。



一転、8月。

1ヶ月くらい、梱包しないで、寝かせておいた(じっくり眺めていた)長崎の街彫刻。
あやちゃんからの助言もあり、週末を使って(平日はキールの街彫刻をやらなくては)、取り組んでみると、、、、

あらま、とってもな、イケ凹に生まれ変わった。

あれ、
なんとなく、
今日は何日だったっけ、
日付はというと、、、、

なんと8月9日だった。
凹みの神様が宿って教えてくれたのかもしれない。
こんな離れたところだけど、黙祷。
届け。



さて、場面は変わり、
と、ある、運気下がりまくりの数週間。

インターネットが突然、繋がらなくなる。
本当にバッツリ途絶えるのです。電話もぶっつり通じません。


さらに郵便事情、
ドイツ郵便さん、大事な展示用ワイヤーがなぜこうも届かない?
だって、配達員さん、近所の家や、お店に荷物を預けていくんだけど、肝心の不在票をポストに入れてくれないのです。
分かるわけないよね。ただ荷物が消えるだけなんです。
しかも、その日はずっと家にいたぞ。



ある日、昼なのに暗くなった。なんだあの異常な雲、、、と思っていたら黒煙だった。
向かいのマンションの屋上からゴウゴウ、これは結構な大火事だぞ。
後から聞いたけど、大規模に修復工事をするのはいいのだけど、土日にプロパンガスを何本も屋上に置き去りにしたのが原因らしい。


何週間か後、(ほんと修理にこれだけ時間がかかるのです)
電話がやっと通じて、
日本に電話をかけると今度は、
父の55年前の足の古傷が、今、再び悪さをし始めているとのこと。
もう数ヶ月日本に帰ることはできないのでどうしようもない。
ドイツから入る場合、
札幌まで行く国際線は皆無、羽田や関空などからの国内線、公共交通は使っちゃだめ、というルールになっているのだ。
どうすりゃいいってぇの。
(初夏に帰る予定だったけど、飛行機は全てキャンセルになった)


お風呂にお湯をためて気がついたのだけど、上下水道ともに、砂が混じってるじゃない。ザラザラ。


もう、信じられない。ここ、一応、先進国の首都の中心部だぜ。



国税局の監査。
ランダムに選ばれるらしいが、
見事、その対象に抜擢される。
ついてねー。

でも悪いことなんてなんもしてないし、全然大丈夫。
逆に外国人として、
誰よりもちゃんとやらないといけない。
そう言い聞かせてきた。

こういう時のために税理士事務所とともに二人三脚で歩いてきた。

どれだけ、ちゃんとやってきたか、やっと見せられる。
えへん。

なんて思っていたら、

ふむふむ、ニューヨークのポロック財団さんから頂いた奨学金、
ふむふむ、これは課税対象にはならないぞ、、、
ふむふむ、いや、実はなるのですって!!

えーーー、まじ?

これには税理士さんたちもびっくり、
状況が複雑らしく、
プロでもみんな知らなかったのだから、しょうがない。。
もちろん、払うべきものは払いますよ。わたくし。
さて、いくらの追加徴収だい?

⚪︎ ⚪︎ ⚪︎ ⚪︎ ⚪︎ ⚪︎ ⚪︎!
えー、
えー、払いたくない、わたくし、はらいたくないですぅ、そんなおかねぇ。

おのれぇ、法律め。

アビガン打ってやろうか。



あっはん、9月。

徐々に運気が上っている。

彩ちゃんのヴィザ、成功!
モンドリアン財団、成功!

9月4日、
全て(6箱)の箱を送り出す!



日程が延期になっていた、
オランダ、ライデン市のシーボルトハウスでの展示。
ミュージアムのスタッフが優秀だし、
1.5日間の予定が、0.5日で完了!
素敵なディナーにもありついて、
やっぱりオランダはいいなー。

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帰ってきて次の日にキールへ。

キール市立ギャラリー
入念に準備していたので、3日間の設置予定が、
1.5日間で完了!
そういう設置の要領については自分たちの成長を感じることができている。

さぁ、そうやって自分たちが生み出した時間、、
どこに行くかというと、、、
海だ!!
二人、イソイソとお弁当(パン)を買って、
路線バスでレッツゴー。
街の喧騒もコロナも置いていく。

バルト海岸を裸足で歩く。
波と風の音で、体の中が、シャワシャワ、洗われていくみたいだ。
張り切って、砂浜ランニングまで。 

ふぅ、これで今年の山は越えた。
ちょいと密でした。

会場のエントランスホールに展示した、キールの街の形彫刻
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あとは、
台北のアートフェア、
パッとつくったら、
パッといいものができて、
パッと送った。

そしたら、
パッとは売れず、
結局
いつまで待っても売れなかった。。。

パッとは、、、
忘れられない、、、。



おっほん、10月、ベルリン
あやちゃんと、来たるベルリンでの展示、どれ見せよっか?
みたいな話になり、
2008年から取り組んできた彫刻を久しぶりに倉庫から出してくる。
2012年までかけて、ハンブルグ、ロッテルダム、大阪、バルセロナ、シカゴのギャラリーで観せたのを最後に、(なぜか全てその国第2の都市、そして港町)ずっと倉庫に眠っていたやつ。

久しぶりに出してあげたら、
まぁ、彫刻がキラキラ大喜びしているのがわかる。。
わたくしぐらい、気がふれてくると、彫刻と会話ができるのです。
(会話という名の幻聴?)


よっしゃ、あんたには、最高の展示方法を、見つけてあげよう、
ということで
ああでもねぇ、こうでもねぇ、と
粘っていると、1、2週間後、

その粘りが最高の出来栄えとなってくれました。
僕の代表作品の一つだろうな。

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昨シーズンまで着ていた、高校生の頃に買ってもらったダウンジャケット。
日本製で、一向にへたらないので、もう30年近く着たことになる。
さすがにそろそろ、今風なのが欲しくなる。


吟味を重ねて、
新しく当たったのは、ゆ⚪︎黒のダウン。
いやー、このクオリティとデザイン。
そしてこのコストパフォーマンスは、素晴らしいです。
(別に安さを求めたわけではなく、デザインのみで選んだのだけど)

鏡を見て大満足です、シュッとして見える。
(ただ着る機会が全然ない、

要はね、お兄さん、

いい服を欲しがる前に、お前の体を仕上げろ、
速く走る高級車を欲しがる前に、お前が速くなれ。
高いランニングシューズを欲しがる前に、自分の足の裏にその機能を宿せ。
いい調味料を揃える前に、たくさん運動をしろ、
いい酒を飲む前に、たくさん運動をしろ、
それだけで味は1.5倍増しだから。

最近はそんなのをモットーに生きている。

縄跳び、ジョギング、サッカー、ヨガ、懸垂、プランク、
などなどを取り入れ、変な話、もうコロナ前よりも健康なんじゃないか。
タバコだって吸ってたことさえ、忘れてしまったし。(もう少しでやめて2年)

と、ここまで、気分良く書いたところで、

なんだか、煙たいぞ、
俺、吸ってねえぞ、

キッチンで煮詰めていた、
今夜の献立、豚の角煮の鍋底を真っ黒に激焦がししてしまった。
ガリガリとナイフで焦げを削っていく。
ふう。
前の日から、丁寧につくっていたのでがっくり。
煮卵7個も全滅か。。。

全滅の刃。

なんちゃって。

そんな、鬼しょんぼりしているけんに、
あやが一言、

「大丈夫だよ、たぶん香ばしくて、逆に美味しいよ」

「炙りチャーシューみたいになるんじゃない」
ですって。

優しい、、、

女性って。



そうそう、あのキールの街彫刻、

あやちゃんが粘り強く素晴らしいプレゼン用書類をつくってくれて、
ハンブルグのギャラリスト、みきさんが的確なオーガナイズをしてくれて、

キールの市立美術館に、ずっと、とどまることになりました。
こーんな風にぶら下がっています。




かっくん、12月、
ベルリンで予定されていた展示が、延期の末、中止。
搬入もすでに終わって、最高の彫刻、(例のやつ)が設置されていたのだけど。

そして、ドイツも例にもれずロックダウン。
みんなクリスマスを楽しみに生きているような国民性なので、本当にかわいそう。
可能なら僕の楽しみを分けてあげてもいいよ。


さらに変異種たるものも出てくる始末。
あちゃー。


それでも、美術家という職業に限って言えばですが、
ここまでくれば、あとはこの騒動に振り回されず、自分のやるべきことを淡々とやってきた人間が、勝ち残っていくのだろう。

ま、僕の人生、そもそも変異種みたいなものなんだから、
何か、文句を言えるほどのものでもないし、
実際に何の文句もない。

置かれた状況に、ヒーヒー嘆いて、その責任探しをする前に、

自分で選んだ職業で、自分で選んだ移住地で、自分で選んだ環境でしょう?

ならばそこに生じたリスクも100%自分の責任、全て背負うんです、それが大人というものですよね。

はーい、その通りでございます。

正論、言うのは簡単でーす。

でも、異種でも人間は人間、
ついつい、ごねたくもなるのです。

さぁ、今夜も、ゴネゴネ、一杯行こうか。








# by hecomi-study | 2021-02-14 22:28